2010年度 社会フィールドワーク公共交通の維持活性化教授 山本雄吾

近年、公共交通空白地帯の解消や廃止路線バスの代替を目的として、市町村が主体となりバスを運行する「コミュニティバス」が増加しています。2010年度の社会フィールドワークでは、国土交通省中部運輸局ならびに愛知県北名古屋市のご協力をいただき、北名古屋市のコミュニティバス「きたバス」について、これをより利便性の高いものとすべく改善提言を行うことを目標とした調査を実施しました。

本調査では、まず、既存文献や市役所HP等から当該コミュニティバスの概要を把握した上で、市役所に伺い担当部局の方から説明を受けました。続いて、グループに分かれて主要バス停でバス利用者に対するアンケート調査を行い、同時に、順番に実際にバスに乗車してみて印象を記録する乗車調査も実施しました。以上の事前調査情報や現地調査結果を、グラフや文章で表わし、最後に改善提言をまとめた「コミュニティバス調査報告書」を作成しました。

受講者は、知らない人にアンケートすること、その結果を統計処理してグラフ化すること、そこから読み取れることを文章化することなど、従来あまりしたことのない作業を経験しました。加えて、普段はクルマ利用でバスに関心のない若い人たちが、コミュニティバスがお年寄りなど交通弱者にとっては生活に不可欠な交通手段であること、そしてそれを維持していくために市の担当者が真摯に費用削減の工夫・努力を重ねていることを理解してくれれば、担当者としてはたいへんうれしく思います。

なお、2011年度は、愛知県小牧市について、同様の調査を実施予定です。