学部長・学科長メッセージ
経済学って何だろう
経済学というと、お金の動きを対象とした学問といったイメージをもつ人が多いかもしれません。しかし、お金だけではなく、人、モノ、さらには時間や情報といった限られた資源を、どのように配分するのかを論理的に選択し、人々がより満足する生活を送ることができるように考えていくのが経済学です(もちろん、経済学の定義にもいろいろな考え方があります)。
たとえば、大学に入学するということは、高校卒業後すぐに就職して給料を稼ぐのではなく、大学で4年間広い意味での費用を払って勉強するという判断をしたことになります(広い意味というのは、就職していたら得られたであろう給料を含むという意味です。これを機会費用といいます)。つまり、4年分の給料をあきらめた上でそのように学資をかけても、自分の将来の生活にとって良いだろうという選択を行ったとみることができます。そうした行動を理論的に説明し、実際のデータを用いてより満足する結果が本当に得られるのかを論理的に追及するのが、経済学的なアプローチになります。
もちろんこれは一例ですが、私たちの生活は経済に関連する選択の連続です(ランチに何を食べようか、授業後は何をして過ごそうか…)。そうした私たちの行動の原理を、経済学では様々なツール(道具)を使って、明らかにしていきます。経済学のツールには、経済理論、歴史的アプローチ、データ分析、フィールドワークによる調査等々、様々なものがあります。また、対象となる人間の行動は多様ですから、いろいろな課題を設定することができます。名城大学経済学部では、こうした経済学のツールの使い方の基礎を学んだ上で、自分で課題を設定し、それを解決する能力を身につけることができるような仕組みを用意しています。
DEIとは
DEIという言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、Diversity(ダイバーシティ、多様性)、Equity(エクイティ、公平性)、Inclusion(またはInclusivity、インクルージョン、包括性)の頭文字をとった略称で、 近年の社会においては、一人ひとりの多様な個性を尊重し、公平に機会などが与えられ、多様な価値観や考え方が受け入れられ、活かされることが目指されるようになってきています、現在では多くの企業や組織においてDEIが推進されており、もちろん、名城大学経済学部でも、DEIを尊重します。
では、なぜDEIを推進するのでしょうか。もちろん、基本的な人権としてDEIを尊重しなくてはならないのは当然ですが、経済学の立場からも考えることができます。たとえば、役員の構成がより多様である企業(女性役員の比率が高いなど)とそうでない企業では、前者の方が業績が良いといった研究もあります。これはデータ分析によって明らかにできますが、さらに、多様性がなぜ企業の業績を良くするかという経済理論を考えることにもつながります。
このように経済学は、私たちの生活の様々な側面について、科学的・論理的に指針を与えてくれます。普段は当たり前と思っていることでも、経済学的にみると別の見方ができることも少なくありません。経済学部で、是非、そうした見方を身につけて、自分の興味のある問題に取り組んでみて下さい。