次代のモビリティ産業で、
中小企業の活躍が期待されている。

産業社会学科 准教授 太田 志乃

日本のものづくりを支える中小企業。経済にも多大な影響を与えています。

 自動車産業をはじめ、世界に誇れるさまざまなものづくりを続けてきた日本。ものづくり大国などと言われ、存在感を世界に示してきました。こうした日本のものづくりを支えているのが、日本企業全体の9割以上を占める中小企業。たとえば自動車の場合、部品を製造する企業だけでなく、ナビゲーションシステムなどを担当するソフトウェア企業など、さまざまな関連中小企業が、完成車メーカーを支える形で、自動車生産が成り立っています。このように、日本の産業の全体像や日本経済を考察する際、中小企業は非常に大きな影響力をもっています。そのため、日本の経済状況を分析するには、大企業だけでなく中小企業の動向を正しく捉えることが重要です。

中小企業がそれぞれに活躍し、日本の産業を牽引する未来をめざして。

 私が現在取り組んでいるのは、モビリティ産業へと変容を迎えている自動車産業を中小企業の立場から考察する研究。100年に一度の大変革期を迎えていると言われる自動車産業。電気自動車や自動運転技術の開発が進む今日、トヨタ自動車が未来のモビリティを提案する「モビリティカンパニー」への変革を打ち出したことなどが話題になっています。私の研究の目的は、この変革に対して中小企業がどのように向き合えばいいのか、各企業が情報を適切に収集し、それぞれの立場で適切な戦略を立てられるように知見を示すこと。ひいては日本の産業振興に貢献できたらと考えています。