経済学部ニュース

●愛知県離島プロジェクト・佐久島研修で「自分のできること」を考える




5月24日(土)・25日(日)愛知県離島プロジェクト・佐久島にて研修を実施しました。

今回の佐久島研修に参加した学生の感想からは、地域理解の深化と自己の視野の広がりが顕著に見て取れました。多くの学生が、佐久島を「アートの島」としての側面だけでなく、人口減少や空き家問題といった社会的課題、また島民の生活や思いに直接触れることで、地域活性化に対する理解を深めていました。「便利にすること」が必ずしも地域の幸福につながらないという認識を持ち、「不便さ」も佐久島の個性として尊重すべきだという視点が複数の感想に見られたことが、特に印象的でした。
また、単なる観光では得られない「当事者の声」に耳を傾けることで、学生たちは自らの提案が地域に与える影響や実現可能性を現実的に捉え直していました。例えば、海上花火大会や竹林を活かしたイベントなど、地域資源を基盤にした提案には創造性と地域理解の両方が感じられました。
大学教育における「地域連携」や「実践的学び」において、今回の研修でも参加者の多くが一方通行ではない双方向的な学びを経験したことが読み取れました。今後もこのような体験機会を通じて、地域と若者との持続可能な関係づくりが進むことを期待しています。

■受講生のコメント


義本 真優(経済学科 2年)

今回の佐久島でのゼミ合宿は、普段の生活では得られない学びと気づきにあふれた体験でした。
波の音や鳥の声などの自然の音を聞きながら島中を散策していると、時間の流れがゆっくりに感じられました。普段は、見回す限りの建物の中、移動手段もバスや電車などの公共交通機関が当たり前で、せかせかと動いていることが多い私にとって、佐久島の長閑な空気感と五感で自然を感じられる機会はとても新鮮でした。
また、竹林を訪れた際には、整備されているところとそうでないところの違いに驚きました。出入り口付近は道が広く歩きやすいのに対し、奥の方へ進むにつれて竹が生い茂り道も狭く、雨上がりだったこともあってぬかるんでいて滑りやすくなっていて歩くのが大変でした。岡崎森林組合の方から、昔と比べて竹の需要が減ったことで竹林の整備に人手が間に合っていないと伺いましたが、実際に歩いてみてその現状を実感しました。さらに、竹の運搬についても竹林の周りには空き家が多く、道も人が一人通れるほどの狭さのため、車を近くまで寄せることができないことも、大変なことの理由の一つではないかなと思いました。
他にも、島民の方々へのインタビューで「今までこうして暮らしてきたから不便と思うところはない」とおっしゃっていたことが印象に残りました。私たちにとって「コンビニがないこと」は不便なことですが、島で暮らす人々にとっては、それが当たり前であり、暮らしの一部なんだと気づかされました。
外からの視点だけでは見えなかったことを、実際に足を運んで体験したり、現地の方々のお話を伺うことで深く理解できたことは大きな学びだったと感じました。この経験から、「どうすればよいか」を一方的に考えるのではなく、「どう関わるか」「どう理解するか」という姿勢の大切さにも気づくことができました。



(担当: 佐土井 有里)