経済学部ニュース

●語り手・橋本克己さんの「壮絶な戦争体験」を聴き、平和の大切さを考える




6月4日(水)天白キャンパスにて橋本克己様(89歳)をお招きし、満蒙(まんもう)開拓団の一員として満州に渡り、孤児となって日本に逃れた壮絶な体験を語っていただきました。

満蒙開拓団は、1931年から45年の終戦まで、旧満州国に実施した国策移民。橋本氏の実家は旧八名村(現在の新城市)の農家。昭和17年「東三河郷満蒙開拓団」として一家8人で満州(中国東北部)に入植。1935(昭和10)年9月生まれの橋本氏は当時6歳。零下40度の厳しい自然環境の中、痩せた土地を開拓、穀物づくりをされました。国民学校4年生の時に敗戦を迎え、敗戦後はたびたび集落は襲撃され、略奪、暴行、殺傷…、死の恐怖におびえた日々は生涯忘れることのできない強烈な事実となって今も鮮明に残っているそうです。生命の危機にあいながら日本へ向かう中、薬も食料もない状況で、伝染病でご家族が次々と亡くなり、橋本氏は10歳で孤児となり一人で帰国されました。なぜ満州へ連れてきたのか、ご両親への恨みを長く引きずっておられたそうです。ご講話の最後に「戦争はむごたらしい。80年経っても自分の戦後は終わっていない。皆さんは世界中の人と助け合い、平和な世界を作って欲しい」と訴えられました。

今回の講演は中京テレビの取材を受けました。

■受講生のコメント


●ウクライナとロシアの戦争をはじめとして、世界のどこかで内乱や反乱が起きている今だからこそ、橋本様の生きた戦争の時代のことや、橋本様が求めている平和について深く考える機会になりました。
●筆舌に尽くしきれないお話ばかりで、戦争とは何なのかを考えさせられました。「戦争は嫌だ」これからもこの気持ちだけは守っていきたいと思います。
●苦しかった経験を私たちに伝えたいという橋本様の強い思いを感じました。今の生活がとても恵まれており、平和で豊かであるということ、また戦争という悲惨さを、私たちのような戦争を経験していない世代に語りを通して伝えてくださいました。
●先人の築いた国、平和を自分たちが守り、築いていくんだという気持ちを持ちました。



(担当: 渋井康弘)