経済学部ニュース

●経済学部公開講座グローバル経済を考える(2)
オートサピエンスの“素晴らしき新世界”?



■日 時:2016年10月12日(水)14:50〜16:20
■場 所:名城大学 天白キャンパス 共通講義棟北 N107
■講 師:太田勝敏 東京大学名誉教授

 

経済学部公開講座 グローバル経済を考える(2)では、知能を持つ「未来のクルマ」を軸に、今後の経済・社会がいかなる変化を遂げ得るとされているのか、また私たちが取り組まなければならない課題とは何かを、東京大学名誉教授 太田勝敏先生よりご教示いただきました。

■近未来、交通の道具としての自動車が、自ら情報をやり取りする「考えるクルマ」となり、「オートサピエンス」とも言うべき存在にいたった時、人類にとってそれはいかなる世界を意味するのか。

■また、当面は、旧来の車、様々なレベルの自動/自律運転のクルマの混在が想定されるが、移動においては “エレベーター”のごときツールともなり得る「未来のクルマ」は、既成のゲームを大きく改変させ、「所有」よりも「共有」をベースにした経済・社会を創出し得る。

このようなことを視野に、私たちは、変わりゆく社会の“全体像”を明瞭にはつかみきれないなかで、部分的に見て取れる事柄を紡ぎながら明日を構想する作業にあたらなければならない。先生は、そうした現況を、まずは説き明かされました。

 

そして、今後広く社会において討議を重ねることが求められる課題としては、新技術が導入されるそれぞれの都市・地域社会にて、新たに生じる格差の是正、交通弱者への対策、倫理的な問題への対応から、公と私のありよう、インフォーマルな慣習等もふまえた法制度の整備まで、具体的に例示しながら解説くださいました。

講演後には、「その土地に適した技術の導入」、「技術があっても、その都市・地域社会が受け入れるとはかぎらないことへの留意」、また「関連分野で同時に推進すべき広範な作業」などのご指摘は、専門ゼミでの受講者各自の研究課題においても重要な視座であり、考察を一層深めていきたいとの声が寄せられました。

さらに、「このような社会の趨勢と向き合い、理解を深め、より良い都市をつくり上げていくのは自分たちの世代の責務」との思いも、参加学生から聞こえてきました。



(担当:谷村光浩)