経済学部ニュース
Interview
「世界の都市問題解決に向けた国連ハビタットの活動」
国連ハビタット福岡本部長 是澤優氏
■日 時:2018年12月10日(月)
■場 所:アクロス福岡3階 こくさいひろば
吉田朋泰(経済学科)
筒井流水(産業社会学科)
是澤優 本部長のご講話では、今日「持続可能な開発目標」(SDGs)に向けた取り組みが世界各地で展開されるなか、私たちの都市的な暮らしが、エネルギー消費から二酸化炭素/ゴミの排出まで、いかにグローカルな課題と結びついているのかを改めて強く感じました。また、昨今は、途上国のみならず先進国の地域間・都市内においても格差が広がり、貧困が世代をこえて固定化され、社会がまさに分断される危機に直面している状況下、国内外では社会的包摂の視点が力説されています。私たちは、その糸口のひとつとして、都市が持つ大きな力を諸問題の解決に活かす工夫が重要であることも学びました。
2016年にエクアドル・キトで開催された第3回国連人間居住会議(ハビタット3)では、「ニュー・アーバン・アジェンダ」が都市化と人々の暮らしに関わる国際的な新方針として採択されています。また、地球温暖化に関する「パリ協定」や、東日本大震災での経験等を踏まえて2015年につくられた防災・減災の枠組み「仙台フレームワーク」は、先述のSDGsとともに、いずれも世界の諸都市が課題解決を進める上で重要な指針となっているとうかがいました。そうした国際社会での方向性を視野に、2018年2月、国連ハビタットは、マレーシア・クアラルンプールで第9回世界都市フォーラムを開催。そこでは、それらの目標等の実施を具体的にどのように図っていくかが討議され、目下、次回の2020年に予定されているアラブ首長国連邦・アブダビでの同フォーラムに向けた作業も継続されていると教わり、関係機関によるグローバルな取り組みを大変力強く感じました。
なお、今回のご講話では、国際的な都市景観コンテストについてもご紹介くださいました。そのコンテストでは、当初、いわゆるビジュアルに美しい場所が高く評価されていたそうですが、最近は、上述のような国際社会での潮流に合わせ、いかに地域住民の方々が力を合わせ、居住環境を改善してきたのかを重視する傾向が見られるとのことで、アジアのローカル・コミュニティが受賞された事例をいくつか拝見いたしました。経済・社会のあり方を見つめ直すビデオ・コンテストにチャレンジしている私たちにとっても、作品づくりに関して貴重な示唆をいただく機会となりました。
(担当: 谷村光浩)