経済学部ニュース

●セミナー「ミャンマーの金融事情」実施報告



5月20日(金) 13:10〜16:20、泉賢一講師による「ミャンマーの金融事情」セミナーを実施しました。泉氏はミャンマーの民主化が始まった2013年からミャンマーに赴任され、2020年に帰国されるまで、通貨や銀行が信じられていない国ミャンマーで、日本からのODAの一環として中小企業のための融資の仕組みづくりに奮闘されました。残念ながら2021年2月、ミャンマー軍のクーデターにより、泉氏が尽力して作り上げた融資制度は停止してしまいました。

 

今回は、泉氏の経験をもとにした著書「ミャンマー金融道:ゼロから信用をつくった日本人銀行員の3105日」を基にお話しいただき、後半のディスカッションでは、学生たちは、ミャンマーで発生している金融問題は何か、その問題の要因は何か、その解決策として何が考えられるかについて話し合いました。

 

まとめとして、ミャンマーで発生している金融問題は三つあり、一つ目は自国民にミャンマーの通貨であるチャットが信用されていないこと。二つ目は国軍のクーデーターにより外国からの援助や外国資本の投資が撤退、新規投資が中止されていること。三つ目は自国内の企業が必要な融資制度が停止していることです。

 

ミャンマーでは、政府がコントロールできないほどのインフレが過去に3回も発生し、その対応策として廃貨令が3度も実施され、国民が自国通貨を信用できず、自国の金融制度や銀行も信用できないということは、日本の学生たちにとって衝撃的であったようです。さらに、国軍クーデターにより、外資が撤退し、海外からの経済制裁の影響をうけ、一般国民は困窮し、学生たちも大学閉鎖や民主化弾圧等の影響で授業を受けられない期間が長く続いている悲惨なミャンマーの状況を詳しく学びました。学生たちは、通貨の安定、政府の経済政策の重要性、更には、民主的な自由経済を尊重する政府の重要性を再認識しました。



(担当: 佐土井 有里)