経済学部ニュース
5月27日(金) 13:10〜16:20、新規特殊講義「グローバル経済を考える」において、元シーメンス日本代表、同会長の藤田研一氏による講義「ドイツ企業と日本企業」を対面とZoomを併用して実施しました。
シーメンス(ドイツ企業)は情報通信、電力関連、交通・運輸、医療、防衛、生産設備、家電製品等の製造およびシステム・ソリューション事業を持つ世界的に有名な企業です。藤田氏はそのシーメンス日本会長の経験から、日本側とドイツ側、双方の立場や相違点を理解し、ドイツ企業から良い点を学び取り入れることの重要性について経験談を交えてお話しいただきました。
■受講生の感想から
「働き方の違いが深く印象に残っています。日本の企業は低価格で財やサービスを提供する傾向がありますが、ドイツでは、品質の良いものを提供する(付加価値の増加)を重視する傾向にあるということを学びました。日本のように低価格で財やサービスを提供するということは、必ずしもではありませんが、低賃金や長時間労働といった労働者の酷使のうえで、低価格が実現していることもあるのではないかと考えます。」
「日本はチャンスよりもリスクを考え調和の文化であることに対して、ドイツは個人主義でリスクよりもチャンスを考えるといった国民性の違いもあります。そのことが、日本の有給休暇の取得率の低さと、ドイツの有給休暇取得率の高さといった違いを生み出す原因の一つとなっていると学びました。ドイツは日本と比べて休暇が多いですが、仕事と休暇のメリハリや切り替えがはっきりしており、休暇のために働き、そのため業務が効率化されていることも知りました。」
「ドイツの中小企業政策について印象に残りました。ドイツの中小企業政策は、基本的には中小企業の競争力の向上促進を課題としているとのことです。ドイツでは競争力のない中小企業は「ゾンビ企業」と呼ばれ、国民のなかにゾンビ企業を永らえさせようという発想自体がないため、銀行も冷たく、淘汰されていきます。強いドイツの経済力は、「Hidden Champion(隠れたチャンピオン)」と呼ばれる力のある中小企業があってこそ可能であると知りました。」
(担当: 佐土井 有里)