経済学部ニュース

●2022年8月1日 オンライン講演会
ハビタットひろば「世界が求める福岡の廃棄物埋め立て技術〈福岡方式〉: ミャンマー」受講報告

ハビタットひろば「世界が求める福岡の廃棄物埋め立て技術〈福岡方式〉: ミャンマー」
左: 途上国の都市問題: ゴミ埋立場
右: 国連ハビタット福岡本部 本部長補佐官 星野幸代氏


2022年8月1日、国連ハビタット(UN-HABITAT)・福岡県国際交流センター主催のオンライン講演会に参加しました。2018年4月、ヤンゴン市の廃棄物処理を担うテインビン埋立場では大規模な火災が発生。それ以来、国連ハビタットは、拠点の福岡にて長年培われた廃棄物管理技術をベースにした「廃棄物処理緊急改善計画事業」を、広範なパートナーと連携するかたちで展開しています。今回は、本プロジェクトを推進された専門家・実務家諸氏から、その支援の概要をうかがいました。

■現地の人々とともに、その地に適合した技術に仕立て上げること


濱咲也花(産業社会学科 2年)

 

はじめに、国連ハビタット福岡本部 本部長補佐官 星野幸代氏は、途上国の「ゴミ山」問題とは「環境、社会、経済などに関わる深刻な都市問題」であり、適切に処理がなされないと「温暖化や感染症などをも引き起こす複雑な課題」であると解説くださいました。特に、当地で懸命に生きる方々のスライドに添え、貧困は世代をこえてつながり得るとご指摘されたことに、問題解決の難しさを強く感じました。

次いで、福岡大学名誉教授 松藤康司氏は、準好気性埋立構造の「福岡方式」について概説くださいました。2011年7月、国連から認定されたこの手法は、低コスト、簡便、かつ環境に優しい技術で、海外から注目されています。ミャンマーにあっては、「困難な社会情勢のなかでも、水・下水・し尿、そしてゴミ処理は、死守すべきインフラ」との思いが、現場にて当地の方々とも共有されているとのこと。そして、確立した技術の移転というよりも、現地の方々とともに、その地に適合した技術に仕立て上げることの大切さを学びました。

最後に、福岡市環境局にて国際協力を担当されている梅木孝氏は、自治体の観点から、技術支援の枠組みなどについてご教示くださいました。ヤンゴン市と福岡市は水道整備の事業をきっかけに2012年から交流を重ね、2016年12月にヤンゴン・福岡両市は姉妹都市関係を結んでいます。この「福岡方式」に関する最新の動向としては、2022年7月に「国内外の技術者がともに学びあう場」として、「福岡方式グローバルネットワーク」が設立されたとのご案内がありました。

開発問題を討議する際、文化や価値観の多様性を踏まえることが大切との認識はありましたが、そうした「多様性」は地域社会で日々排出される「ゴミ」にも現れるとのお話には驚きました。また、「平和」が揺らぐ社会において、公衆衛生の後退はさらなる惨事を招くと、現地に心を寄せる関係機関・諸氏が、何層にもなる国際協力の枠組みを築き、推進されていることに感銘を受けました。グローバル/ローカル社会の複雑に絡みあった課題について、自分自身も当事者意識をもって学び続け、地域の方々とは一緒にアイデアを練り上げたいと思いました。


【大学ウェブサイト 関連リンク】
名城大学 学びのコミュニティ(2022年度)
E=mc2 for SDGs(Empowerment = movie×creative conception for Sustainable Development Goals)
自らの着想を映像で発信できる、「持続可能な開発目標」(SDGs)のための人づくり


(担当: 谷村光浩)