メガバンクの拠点は大都市。
地域金融機関が地域の経済を支えている。

経済学科 准教授 新井 大輔

地域金融機関は地域企業と運命共同体。リレーションシップで顧客との関係を密に。 金融機関は階層状になっています。メガバンクがあるのは基本的に大都市。地域には地方銀行と、さらに規模が小さい信用金庫と信用組合があります。中でも、信用金庫と信用組合は協同組織のため、第一の目的は会員・組合員の相互扶助です。これらは地域金融機関と呼ばれており、地域経済を支えています。地域金融機関が中小・零細企業にお金を貸すときは、その企業の利益や資産といった財務情報だけでなく、技術力、経営者や従業員のやる気と人柄、地域での評判などをしっかりと見極めることが重要です。そのためには、顧客との親密な関係性が不可欠で、こうした貸出手法をリレーションシップバンキングと呼びます。

規模によってメリットもさまざま。金融機関も多様性が大事です。 私はリレーションシップバンキングがどう発展し、どんな問題に直面したか研究しています。1990年代末から2000年代初頭、大小さまざまな金融機関が経営危機に陥りました。融資を受けていた企業は、貸し渋りで資金繰りに行き詰って倒産。こうした悲惨な問題を引き起こす構造を知りたいと思ったのが研究のきっかけです。コロナ禍で疲弊した地域産業の復興に地域金融機関は欠かせません。地域の企業と関係が密な金融機関にはコアな情報が集まり、顧客同士をつなぐ役割も期待されています。近年、地域金融機関の経営統合が増加していますが、合併で経営基盤は強くなるものの特色が薄まる懸念も。規模が大きければ良いとは言えず、金融機関も多様性が大事です。