問題も魅力もケタハズレ
インドにはまると抜けられないかも

産業社会学科 教授 杉本 大三

穀物生産を増やし、インドの飢餓を救った緑の革命。 インドにどんなイメージを持っていますか?最近はITのイメージも強いようですが、1960年代までは食料不足になることもしばしばでした。それを変えたのが、「緑の革命」と呼ばれる農業革命です。収穫量の多い品種や灌漑施設などを導入し、機械化を進めたことで、穀物の大量生産に成功しました。それまでインドの食糧難は人口が多いだけに、世界に影響を及ぼしていましたが、その危機は回避されるようになったのです。ただ、食料の生産量は増えましたが、今なお貧富の差は大きいです。貧困問題への関心がインド農業を研究するようになったきっかけの1つですが、インドは貧困問題も巨大で、私の研究もまだまだ終わりそうにありません。

データだけでなく、現地で得た情報も組み合わせて。 研究では、緻密な統計分析と徹底した現地調査の両面を大切にしています。人間の生活全部が関わってくるのが経済学です。統計から分かることは限定されており、数字になりにくい部分も考える必要があります。たとえば、米の収穫量を上げるには、どんな農具や農業機械を使ったらいいのか、天候はどうか、農家の熟練の度合いはどうかなど、現地調査で得た情報を統計と組み合わせて、立体的に世界を見るように努力しています。