経済学部ニュース

●2024年6月3日 オンライン講演会
ハビタットひろば「廃レンガや瓦を利用した舗装材で循環型都市を目指す」受講報告

ハビタットひろば
「廃レンガや瓦を利用した舗装材で循環型都市を目指す」 
国連ハビタット福岡本部 本部長補佐官星野幸代氏
 

ハビタットひろば
「廃レンガや瓦を利用した舗装材で循環型都市を目指す」 
−ネパールにおける試験施工−
株式会社エコシステム 代表取締役髙田実氏


五十嵐翔星(経済学科3年)
横江俊(産業社会学科2年)

2023年9月、国連ハビタット福岡本部では、環境技術専門家国際会議「気候変動に適応した持続可能なまちづくり」を開催。その際、ラリトプル(ネパール)の副市長からは、「年々増加する雨季の洪水、地震等の災害や急激な都市開発によって発生する建設瓦礫の廃棄」に関わる諸課題が示されたそうです。そして、その解決にむけた具体的な取り組みとして、経済産業省『適応グッドプラクティス事例集』に紹介された、株式会社エコシステム (本社: 石川県能見市)の「リサイクル材を活用した透水・保水効果の高い舗装材の試験施工」が、ラリトプル市にて今年1月に行われました。

2024年6月3日、国連ハビタット福岡本部・福岡県国際交流センター主催のオンライン講演会では、株式会社エコシステム代表取締役髙田実氏 (聞き手: 国連ハビタット福岡本部 本部長補佐官星野幸代氏) が、「廃レンガや瓦を再利用した舗装材で循環型都市を目指す」という主題のもと、当該事業の概要などをご教示くださいました。

ネパールでは、建物の多くにレンガが使われています。「レンガはネパールの歴史・文化・誇り」であり、「建築資材(費)としても優秀」であるため、上述のような問題を抱えながらも多用され、「廃レンガの大量発生」が止まないとのこと。そこで、建設廃材を「透水・保水舗装材」や「透水・保水ブロック」として活用するノウハウが現地に提供され、産業廃棄物の不法投棄、ヒートアイランド現象の解消を含む地域環境の改善や、そうした機能性舗装材の「地産地消」によるCO2の大幅な削減といった気候変動対策にもつなげようとの試みが、現地パートナーの方々とともに進められました。

なお、今回のハビタットひろばにおいては、このような瓦・レンガのリサイクル技術と、以前のオンライン講演会にてご紹介のございました(株)大建が推進されている「地下に設けた砕石層に雨水を貯水する」工法との組み合わせも話題にのぼりました (2020年12月1日 オンライン講演会 ハビタットひろば「福岡の企業技術でケニアの難民居住区に安定した水を!」受講報告 https://wwwecono.meijo-u.ac.jp/top_news/20201201.html ご参照ください)。

私たちの身の回りにある建設資材などは、暮らしを豊かにしてくれますが、いつか廃棄しなければならない時がくる(ともすると、諸要因により想定よりも時期が早まる)ということを改めて認識しました。私たちが、何かを生産・使用する際には、それをやむなく廃棄する段階のことまでをしっかりと視野に入れ、これまで以上に責任をもって行動しなければならないと感じました。また、開発課題に対するこうした技術協力の広がりは、「ソーシャル・ビジネス」の興味深い展開例としても大いに学ばせていただきました。


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(担当: 谷村光浩)