経済学部ニュース

●2020年度・後期、名城大学経済学部
 社会フィールドワーク:「働き方」動向調査


本授業は、「働き方」「職場」「労働」にかかわる社会の実態・変化・課題などを調査するためのフィールドワークです。履修学生は、様々な疑問点・論点を考え、自ら資料を集め、グループで議論し、プレゼンテーションを重ねました。

事前調査として、まず新型コロナウィルス感染拡大に伴う経済的混乱が、雇用にどのような影響を与えてきたかという問題意識のもと、世界・日本・愛知県それぞれの統計データを分析し、深刻な実態を明らかにしました。一方で、コロナショック以前から日本の雇用には大きな変化が生じており、日本的経営の変質、非正規雇用・フリーランスの増大、格差の拡大、技術革新の影響など、多面的に認識を深めていきました。

その上で2020年度は、ベネッセコーポレーション、ハローワーク(名古屋中公共職業安定所)、名古屋ふれあいユニオン、の方々のご協力をたまわり、聞き取り調査を行うことができました。

ベネッセコーポレーションの聞き取り調査では、同社の人財支援部の方が11月26日、オンライン会議に参加して下さいました。ベネッセは、国際的にみて女性活用が遅れてきた日本社会において、かなり早い時期から女性管理職やワークライフバランス・育児両立を組織的に進めてきた会社で、2008年にはこの分野の最優良企業として政府から表彰されました。女性が男性社員並みに働くことを前提にするのではなく、女性が働きやすい条件を整備し、さらには男性も含めた長時間労働の是正(最近はリモートワーク)に取り組んできたということです。参加した学生にとっても、働きやすい職場や将来性のある会社を考える上で、大いに刺激になったようです。とりわけ興味深かったのが、女性の活躍が同社における商品サービス開発にかかわるイノベーティブな発想にむすびついてきた、という実績を踏まえての、人財の多様性(文化や国籍も含めて)こそが会社の活力の源である、というご指摘でした。もちろんベネッセにもまだ様々な課題があるとのことでしたが、日本経済が困難な状況を乗り越えていくための重要な方向性の一つが示されているように感じました。


東京の郊外、多摩市にある、ベネッセコーポレーション東京本部

ベネッセ人材支援部の方に参加いただいたオンライン会議

ハローワーク(名古屋中公共職業安定所)には、12月10日に現地を訪問させていただき、行政サービスの現場を見学したり、様々なお話を聞くことができました。人材確保支援係長の方には、求人情報を単に集めるだけでなく産業団体や企業に働きかけて求人を開拓すること、利用者とのマッチングを行う中心的な職業紹介以外にも、新しいスキルを獲得するための訓練の機会を結びつけること、その他にも雇用保険の支給や障害者等の就業支援など、多岐にわたるハローワークの機能を説明していただきました。とりわけ公共サービスとして求人側も利用者も無料で利用できることが、社会的公平の確保につながるという部分に、ハローワークの重要な意義を感じました。次に、地方労働市場情報官や求職者相談担当の方には、愛知県の雇用情勢についてお話しいただきました。愛知県の有効求人倍率はこれまで全国平均を上回っていたが2020年7月に初めて全国平均を下回ったこと、特に製造業の生産工程や飲食・小売部門での求人落ち込みが大きいこと、正社員求人の倍率は0.8倍でさらに厳しいこと、製造業の持ち直しの兆しはあるが今のところ雇用増につながっていないこと、などが分かりました。

 

ハローワーク(名古屋中公共職業安定所)を訪問

ハローワーク職員の方々のお話を聞き質問をする学生

最後に、若者求職者担当、就職ナビゲーターの方からも、内定率が今年は低下したこと、内定取り消しも出ていること、就活の形態が変化していること、などのお話を聞くことができました。学生にとっては自分の問題として考えるきっかけになったと思います。ハローワークは就活生への支援や各種セミナーにも力を入れていて、登録をすれば大学のキャリアセンターとも連携して一人ひとりに支援担当をつけています。参加した学生の何人かはすぐに登録をしていました。また全国的移動がない公務員、というところに自分の進路として魅力を感じた学生もいたはずです。

職業訓練学校の斡旋などについて説明を受ける学生

ハローワークの現場を見ながら公共職業紹介について学ぶ学生

名古屋ふれあいユニオンの委員長の方には、12月17日に本授業のTEAMSに参加をいただきました。同ユニオンは組合員500人ほどの個人加盟制の労働組合で、とりわけ非正規・移住労働者を組織し、昨今の雇用悪化の最前線で活動されています。10月の労働相談件数は昨年比4倍、その大半が非正規雇用の雇い止めに関するもので、非正規雇用が狙い撃ちにあっている現状だといいます。気になったのがコロナ便乗リストラで、例えば西尾にある中堅部品メーカーはこれまで何度も再雇用してきた日系ブラジル人契約社員約100人全員を雇止めし、生産再開後に別の契約社員を雇ったため、同ユニオンは労働委員会に申立てて問題にしました。さらに新規に雇われた契約社員の雇用期間が以前より短縮され、いつでも切り捨てやすくなっていることから、ポストコロナになっても非正規の立場は厳しいままだろうというのです。学生たちは少なからず衝撃を受けていました。特に印象的だったのは、委員長自身のご経験でユニオンの意義を語られたことでした。昔はうまくやっていけない人たちには努力が足りないと思っていたが、会社でいじめにあい個人加盟ユニオンに支えられてから、どんな人にもうまくいかない時期があり、それでも生きていける社会や支えあえる場の大切さに気づいた、ということです。

名古屋ふれあいユニオンの方に参加いただいたオンライン会議

ユニオンの活動紹介などを聞き質問をする学生

(担当:神野圭介)